特定福祉用具販売事業を開業するには

thumbnail

特定福祉用具販売事業とは

特定福祉用具とは、腰掛便座や自動排泄処理装置の交換可能部品など、福祉用具の中でも入浴や排せつなどに用いる、貸与(レンタル)に適さないものとして厚生労働大臣が特定したものを指します。

特定福祉用具販売事業は、利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることができるよう、福祉用具販売の指定を受けた事業者が、特定福祉用具を販売する事業です。

特定福祉用具を用いることで日常生活上の利便性を高め、家族をはじめとする介護者の負担軽減などを目的として実施します。

ちなみに介護保険における福祉用具は、要介護者の日常生活の便宜を図るため、および要介護者の機能訓練のための用具を指します。利用者がその居宅において自立した日常生活を営めるよう助けるものについては、保険給付の対象となっています。

特定福祉用具販売事業で提供できるサービス

福祉用具の対象は下記の5品目で、要介護度によって異なります。

特定福祉用具販売の対象種目(5品目)

  • 腰掛便座:腰掛便座、補高便座、居室利用型(ポータブルトイレ)、立ち上がり補助
  • 自動排泄処理装置の交換可能部品
  • 入浴補助道具:浴槽内いす、浴槽用手すり、入浴用いす、入浴台、浴室内すのこ、浴槽内すのこ、介助用ベルト
  • 簡易浴槽
  • 移動用リフトの吊り具の部品(移動用リフトの吊り具の部品に、リフト部分は含みません)

利用者負担

  • 特定福祉用具の利用者がいったん全額を支払った後、費用の9割(一定以上所得者の場合は8割または7割)が介護保険からの払い戻しを受けられます。これを償還払い(しょうかんばらい)と言います。
  • 同一年度で購入できるのは10万円までとなっています。利用者負担が1割の方の場合は、9万円が介護保険から給付されます。

特定福祉用具販売事業の開業時に必要な資格や条件

レンタルに適さない特定福祉用具のニーズは高まる一方です。ここでは特定福祉用具の販ビジネスを開業する際に必要となる項目をご案内します。

■法人の設立について

指定申請を行うには、株式会社や合同会社、NPO法人、社会福祉法人などの「法人」を設立して法人格を得る必要があります。まだ法人格でない場合は、会社設立手続きからスタートしてください。

すでに法人格を持っている場合は、定款の事業目的に「特定福祉用具販売事業」などの文言が記載されていることを確認します。記載がない場合は、定款の事業目的を変更しなければなりません。

■人員の確保について

特定福祉用具販売事業の指定を受けるには、人員要件を満たす人員を確保することが必要です。

取り扱う特定福祉用具は、福祉用具の中でも、一般的にはなじみの薄いものが少なくありません。開業までに正しく安全な使用方法を理解し、購入希望者の方にわかりやすく丁寧な説明ができるように、スタッフの採用と教育は早い時期からはじめることをオススメします。

都道府県などによって異なる場合がありますので、慎重に確認しておくことをおすすめします。

【管理者】

特定福祉用具販売事業において営業を行うには、常勤の管理者を配置しなければなりません。ただし、業務に支障が無い場合は、他業務との兼務が可能です。

【福祉用具専門相談員】

管理者のほか、福祉用具専門相談員として必要な資格を取得している者を常勤換算で2名以上配置しなければなりません。

■施設の設置について

特定福祉用具販売事業の指定を受けるためには、設備要件を満たす施設を設置する必要があります。

特定福祉用具には腰掛便座や簡易浴槽など、比較的サイズの大きいものも多く、倉庫を併設しない場合は、床面積を広く確保する方が便利です。

販売スペースや事務室のほか、相談に対応できる部屋を設ける必要があります。ただし、床面積などの具体的な規定はありません。

■備品などについて

特定福祉用具販売事業の指定を受けるためには、事務所として用いる施設の備品についても指定されています。

指定された備品が配置されていない場合、指定を受けることができないのでご注意ください。また、余裕を持って揃えておくことで、質の高いサービスを実施することにもつながると考えられます。

施設の契約完了から速やかに準備を進めることで、「開業当日までにすべてが整った環境にスタッフが慣れておける」といったメリットがあります。

■指定前研修について

特定福祉用具販売事業の指定申請を行う前に、法令などにしたがって指定前研修を受講する必要があります。

実施日に関しては都道府県別に異なるので、それぞれの地域で確認する必要があります。

■指定申請書類の準備と提出について

特定福祉用具販売事業の指定申請を行うには、申請書をはじめ、さまざまな書類を提出する義務があります。また、申請に必要な書類は都道府県などによって異なる場合がありますので、慎重に確認しておくことをおすすめします。

特定福祉用具販売事業の指定申請の手続きには、事前に予約をしておく必要があります。開業予定日から逆算して提出予定月の受付期間をチェックし、確実に申請予約を行ってください。

また、予約の受付期間も都道府県などによって異なる場合がありますので、慎重に確認しておくことをおすすめします。

受付当日は、申請を行う都道府県の各窓口に申請書類を提出し、必要な場合は書面記入などの手続きを行います。ただし、申請書類の提出直後から審査の実施までには、ある程度の期間を必要とされます。開業予定の数カ月前には申請を済ませておくようにおすすめします。

施設開業時にかかる費用

これまでに述べてきた条件などをクリアできると、開業の手続きが可能となります。特定福祉用具販売事業には施設の開業時に、どういった費用がかかるのかをまとめました。

■会社設立にかかる費用

株式会社を設立する場合、定款を作成した後、公証人による認証を行う必要があります。

  • 定款用収入印紙代(電子定款では不要)…4万円
  • 証人に払う手数料(定款の認証)…5万円
  • 定款の謄本手数料(登記)…約2000円(ページあたり250円)
  • 登録免許税(登記)…15万円または資本総額の0.7%のうち、高い方

合計約21万~25万円

■特定福祉用具購入費用

腰掛便座(腰掛便座、補高便座、居室利用型、立ち上がり補助)から自動排泄処理装置の交換可能部品、入浴補助道具(浴槽内いす、浴槽用手すり、入浴用いす、入浴台、浴室内すのこ、浴槽内すのこ、介助用ベルト)、簡易浴槽、移動用リフトの吊り具の部品(移動用リフトの吊り具の部品に、リフト部分は含みません)までを取りそろえる必要があります。

ニーズに対応できる品ぞろえには、ある程度はまとまった資金が必要となります。また特定福祉用具は使用用途などの理由から再利用に適しているとは言えず、中古品を仕入れるわけにはいきません。ただし、各種の融資制度を利用することができます。

■国からの融資が受けられる

新創業融資制度…無担保、無保証で融資を受けることができます。

新規開業資金…雇用を生む事業をはじめる者や、現在勤めている業種と同業種の事業をはじめる者が対象となります。

女性・若者/シニア起業家支援資金…女性の方、もしくは35歳未満の方、または55才以上で新規事業をはじめる方や事業開始からおおむね7年以内の方が対象です。

■補助金・助成金を受けられる

創業補助金…新たに創業した者が申請可能で、日本政策金融公庫や銀行などから外部調達資金がある場合、対象経費の半額、200万円まで助成されます。ない場合は100万円とされています。ただし各自治体により、異なる場合があります。

特定求職者雇用開発助成金…高齢者や母子家庭の母親、障がい者といった就職が困難な方をハローワークなどの紹介によって継続雇用の労働者として受け入れた場合に助成されます。

特定福祉用具販売事業を開業する魅力やメリット

特定福祉用具販売事業には、どういった魅力やメリットがあるのか、代表的なものを以下にまとめました。

■ケアマネジャーとの信頼関係が重要

ほとんどの場合、特定福祉用具の販売は地域のケアマネジャーの紹介で行われます。ケアマネジャーから厚い信頼を得ることが、順調な売れ行きにつながります。詳細な商品知識を持つことや新製品情報の提供など、誠実な営業活動が大切です。

■持続的な成長が見込める業界

長寿社会を迎えた今、福祉用具の需要は高まり続けており、特定福祉用具のニーズも高まるばかりです。介護を必要とする高齢者は今後も増加が予測されており、特定福祉用具の販売事業にも持続的な成長が見込まれます。

■健やかな暮らしに役立てる幸せ

特定福祉用具の販売を通じて高齢者の方や障がいを持つ方、さらには介護などのサポートを行う人々の健やかな暮らしに役立つことができます。特に事業者自身が生まれ育った地元で開業した場合、子どもの頃から成長を見守り、育ててくれた方々への恩返しにもつながります。

まとめ

いかがでしたか?

特定福祉用具の販売事業を開業することは、高齢者の方々や障がいを持つ人々の暮らしを支えるだけでなく、家族や周囲の人々のQOLQuality of life(クオリティ オブ ライフ:生活の質)向上にも貢献できます。

「社会的弱者とされる立場の人のチカラになりたい」

「誰もが住みやすい社会づくりの一助になりたい」

「人々から感謝される仕事で起業し、安定した経営を続けたい」

こうした思いをカタチにしたいという方に、ぜひオススメしたい事業です。この機会にぜひ、開業をご検討ください。

【参加無料】就労継続支援B型向け開業オンラインセミナー

【参加無料】就労継続支援B型向け開業オンラインセミナー

社会進出の機会を生み出す就労継続支援事業の開業セミナーを開催いたします。地域社会を盛り上げて、事業収益も作られる障がい者向け就労事業始めてみませんか?ビジネスモデルから、開業手順、人材の獲得方法まで惜しみなく公開します!今回も青山先生をゲスト講師にお招きしております。

今すぐお申込する!

人気記事

  • なぜ今、日本の障害者人口が増加しているのか

  • 【開業】障害者の就労支援事業立ち上げ完全ガイド

  • 福祉事業に必要な物件選びのコツ

  • 福祉事業の人事評価制度のポイントって?

  • 福祉用具貸与事業を開業するには

関連記事

  • その他福祉事業

    介護老人福祉施設の開業・起業について

    • ビジネスモデル
    • 介護老人保健施設
    • 福祉施設
    • 老健
    • 開業
  • 就労継続支援

    【開業】障害者の就労支援事業立ち上げ完全ガイド

    • ビジネスモデル
    • 就労
    • 就労継続支援A型
    • 就労継続支援B型
    • 起業
    • 開業
    • 障害福祉サービス
    • 障害者
    • 障害者就労支援
    • 障害者就労支援事業
    • 障害者就労支援事業所
    • 障害者就労移行支援
    • 障害者総合支援法
    • 雇用
  • その他福祉事業

    通所リハビリテーション(デイケア)を 開業するには

    • デイケア
    • ビジネスモデル
    • 介護
    • 介護支援
    • 社会福祉
    • 高齢者
  • その他福祉事業

    訪問入浴介護事業を開業するには

    • ビジネスモデル
    • 社会福祉
    • 福祉
    • 要介護
    • 訪問入浴
    • 訪問入浴介護事業
    • 障がい者
TOP

【無料】年商1億円の事業モデル解説本

融資や補助金を獲得したけど投資先に困っている。そんなあなたへ地域密着で社会貢献して収益を上げる年商1億円の事業モデルの作り方を大公開しています。