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障害者就労支援で起業開業する前に抑えておく事について

日本は、障害者に対する就労支援のサービスが整備されています。障害者が自分らしく働ける環境を整えるために、就労支援の開業を始める経営者の方が増えています。

 

地域社会への貢献にもつながる福祉事業の開業、今回は「就労支援」に焦点を当てて、各サービスの特徴や開業時に確認すべき基準をご紹介していきます。

就労支援事業とは

就労支援事業は、障害者総合支援法に基づいて定められた就労系障害福祉サービス全般を指します。

一般企業での就労が困難である障害者を支援することを目的とし、障害者一人ひとりの状態や目指す就労状態に合わせて、サービスが複数用意されています。

 

この障害者就労支援事業には大きく分けて4つのサービスがあります。

 

・就労移行支援事業

・就労継続支援A型事業

・就労継続支援B型事業

・就労定着支援事業

 

通常の事業所での雇用が可能かどうか、雇用契約に基づく就労が可能かどうか、あるいは継続して就労できているかどうかといった状態に合わせて、利用するサービス内容が異なります。

 

では、サービス内容について1つずつ詳しく見ていきます。

 

就労支援事業その1:就労移行支援事業

就労移行支援事業では、通常の事業所に雇用されることが可能であると見込まれる障害者に対して、以下の支援を行います。

  • 生産活動、職場体験等の活動の機会の提供その他の就労に必要な知識及び能力向上に必要な訓練
  • 求職活動に対する支援
  • その適性に応じた職場の開拓
  • 就職後における職場への定着のために必要な相談等

 

標準利用期間は2年とされていますが、必要性が認められた場合に限り、最大一年間の更新が可能です。

就労移行支援の対象者

対象者は、一般就労等を希望し、知識・能力の向上や実習、職場探し等を通じて適性にあった職場への就労等が見込まれる障害者です。

具体的には以下の通りです。

  1. 就労を希望する者であって、単独で就労することが困難であるため、就労に必要な知識及び技術の習得若しくは就労先の紹介その他の支援が必要な者
  2. あん摩マッサージ指圧師免許、はり師免許又はきゅう師免許を取得することにより、就労を希望する者

また、平成30年4月より上記要件を満たす場合は65歳以上の利用も可能となりました。

就労移行支援を開業した場合の報酬単価

報酬単価は502~1,094単位/日となります。

(定員20人以下の場合)

 

就労移行支援の場合は、就職後6ヶ月以上の定着率が高くなるほど基本報酬が上がります。

さらに、以下のような対応をした場合は1日あたりの報酬が加算されます。

 

主な加算

報酬

備考

移行準備支援体制加算 I,II

41、100単位/日

I:施設外支援として職員が同行し、企業実習等の支援を行った場合

II:施設外就労として請負契約を結んだ企業内で業務を行った場合

就労支援関係研修修了加算

6単位/日

就労支援関係の研修修了者を就労支援員として配置した場合

福祉専門職員配置等加算 I,II,Ⅲ

15、10、6単位/日

 I :社会福祉士等の資格保有者が常勤職員の35%雇用されている場合

Ⅱ:社会福祉士等の資格保有者が常勤職員の25%雇用されている場合

Ⅲ:常勤職員が75%以上または勤続3年以上が30%以上の場合

※その他:食事提供体制加算、送迎加算、訪問加算など

就労支援事業その2:就労継続支援A型事業

就労継続支援A型事業では、通常の事業所に雇用されることが困難で、雇用契約に基づく就労が可能である障害者の支援を行います。

雇用契約の締結等による就労の機会や生産活動の機会を提供したり、就労に必要な知識・能力を向上させるために必要な訓練等の支援をすることが支援内容となります。

なお、利用期間には制限がありません。

就労継続支援A型の対象者

通常の事業所に雇用されることが困難であって、適切な支援により雇用契約に基づく就労が可能な障害者が対象者となります。

 

具体的には以下の通りです。

  1. 移行支援事業を利用したが、企業等の雇用に結びつかなかった者
  2. 特別支援学校を卒業して就職活動を行ったが、企業等の雇用に結びつかなかった者
  3. 就労経験があり、現在は雇用関係の状態にない者

また、平成30年4月より上記要件を満たす場合は65歳以上の者も利用可能になりました。

就労継続支援A型を開業した場合の報酬単価

報酬単価は324~618単位/日となります。

(定員20人以下、人員配置7.5:1の場合)

 

就労継続支援A型では、1日の平均労働時間が長いほど基本報酬が上がります。

さらに、以下のような対応をした場合は1日あたりの報酬が加算されます。

主な加算

報酬

備考

賃金向上達成指導員配置加算

15〜70単位/日

定員規模に応じた設定

就労移行支援体制加算 I,II

5〜42単位/日

定員、職員配置、一般就労へ移行し、6月以上定着した者の人数に応じた設定

福祉専門職員配置等加算 I,II,Ⅲ

15、10、6単位/日

I:社会福祉士等の資格保有者が常勤職員の35%雇用されている場合

Ⅱ:社会福祉士等の資格保有者が常勤職員の25%雇用されている場合

Ⅲ:常勤職員が75%以上または勤続3年以上が30%以上の場合

※その他:食事提供体制加算、送迎加算、訪問加算など

 

就労支援事業その3:就労継続支援B型事業

就労継続支援B型事業では、通常の事業所に雇用されることが困難であり、雇用契約に基づく就労が困難である障害者に対して、就労の機会や生産活動の機会を提供します。

また、その他の就労に必要な知識・能力の向上のために必要な訓練や支援を行います。

なお、利用期間には制限がありません。

就労継続支援B型の対象者

就労移行支援事業等を過去に利用したけれども一般企業等の雇用に結びつかない者、一定年齢に達している者が、就労の機会等を通じて生産活動に関する知識や能力を向上したり、それらを維持できることが期待される障害者が対象となります。

具体的には以下の通りです。

  1. 企業等や就労継続支援A型事業での就労経験がある者で、年齢や体力面で雇用されることが困難となった者
  2. 50歳に達している者または障害基礎年金1級受給者
  3. 1および2に該当しない者で、就労移行支援事業者によるアセスメントにより、就労面に関する課題等の把握が行われている者
  4. 障害者支援施設に入所する者について、指定特定相談支援事業者によるサービス等利用計画案の作成の手続きを経た上で市町村により利用の組み合わせの必要性が認められた者

就労継続支援B型を開業した場合の報酬単価

報酬単価は565~649単位/日となります。

(定員20人以下、人員配置7.5:1の場合)

 

就労継続支援B型では、平均工賃月額費が高いほど基本報酬が上がります。

さらに、以下のような対応をした場合は1日あたりの報酬が加算されます。

 

主な加算

報酬

備考

施設外就労加算

100単位/日

一定の基準を満たし、企業内等で作業を行った場合

就労移行支援体制加算 I,II

5〜42単位/日

定員、職員配置、一般就労へ移行し、6月以上定着した者の人数に応じた設定

福祉専門職員配置等加算 I,II,Ⅲ

15、10、6単位/日

I:社会福祉士等の資格保有者が常勤職員の35%雇用されている場合

Ⅱ:社会福祉士等の資格保有者が常勤職員の25%雇用されている場合

Ⅲ:常勤職員が75%以上または勤続3年以上が30%以上の場合

※その他:食事提供体制加算、送迎加算、訪問加算など

就労支援事業その4:就労定着支援事業

就労定着支援事業では、就労移行支援や就労継続支援、生活介護、自立訓練といった支援を経て、通常の事業所に新たに雇用されて6ヶ月が経過した者に対し、就労の継続を図るために支援を行う事業です。

 

業務内容としては、障害者を雇用した事業所や障害福祉サービス事業者、医療機関等との連絡調整、障害者が雇用されることに伴い生じる日常生活や社会生活を営む上での相談や指導、助言といった支援を行うことです。

なお、利用期間は3年間とされています。

就労定着支援の対象者

就労定着支援の対象者は、就労移行支援、就労継続支援、生活介護、自律訓練の利用を経て一般的な就労に移行した障害者です。

上記に当てはまる者の中で、就労に伴う環境変化によって生活面や就業面で課題を生じており、一般就労後6ヶ月を経過していることが条件となります。

就労定着支援を開業した場合の報酬単価

報酬単価は1,045~3,215単位/日となります。

(定員20人以下の場合)

 

就労定着支援では、就労定着率が高くなればなるほど基本報酬が上がります。

さらに、以下のような対応をした場合は1日あたりの報酬が加算されます。

 

主な加算

報酬

備考

職場適応援助者養成研修修了者配置体制加算

120単位/月

職場適応援助者養成研修を修了した者を就労定着支援者として配置している場合

特別地域加算

240単位/月

中山間地域等に居住する利用者に支援した場合

初期加算

900単位/月

(1回限り)

一体的に運営する移行支援事業所以外の事業所から利用者を受け入れた場合

企業連携等調整特別加算

240単位/月

支援開始1年以内の利用者に対する評価

就労定着実績体制加算

300単位/月

就労定着支援利用終了者のうち、雇用された事業所に42ヶ月以上72ヶ月未満の期間継続して就労している者の割合が7割以上の事業所を評価する

 

参照 厚生労働省:

https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/000571840.pdf

 

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/service/naiyou.html

就労支援事業を開業する際の人員・設備基準

実際に各種障害者就労支援事業を開業する際に、必ずチェックしておく必要があるのが人員配置や設備の基準についてです。

それぞれのサービスで基準が異なりますので、ご確認ください。

 

また、設備の広さについては各自治体によって定められている面積が異なりますので、開業予定の地域の情報は必ず収集しておいてください。

就労移行支援 開業時の人員・設備基準

【法人基準】

開業には法人であることが必要条件です。

株式会社・合同会社・NPO法人・一般社団法人、特定非営利活動法・社会福祉法人等いずれの法人でも問題はありません。

どの法人でも法人定款等に「障がい者総合支援法に基づく障害福祉サービス」等と記載することが必要です。

 

【人員配置】

人員配置は以下の通りです。

  • 管理者:1名以上。社会福祉主事任用資格を保有しているか、社会福祉事業2年以上の実務経験者が対象となる。(支障がない限り、他職種と兼務が可能)
  • サービス管理責任者:1名以上(60名以下の場合)
  • 職業指導員:1名以上
  • 生活支援員:1名以上
  • 就労支援員:利用者数÷15 以上の人数(令和3年4月1日より、常勤換算で必要な数以上に緩和が決定)

職業生活指導員あるいは生活支援員のいずれかは常勤である必要があります。

 

【設備基準】

設備に関する基準は以下の通りです。

  • 訓練・作業室:サービス提供時に支障のない広さや備品を備えること。
  • 多目的室:サービス提供時に支障のない広さや備品を備えること。
  • 相談室:机は1卓以上、椅子は4脚以上。パーテーションで区切る場合は必ずプライバシーを確保できる状態にすること。
  • 洗面所・トイレ:利用者の特性にあわせたものであること。トイレの手洗いと洗面所の兼用は不可。
  • 事務室:業務を行うための適切なスペースや備品があること。

就労継続支援A型 開業時の人員・設備基準

【法人基準】

開業には法人であることが必要条件です。

株式会社・合同会社・NPO法人・一般社団法人、特定非営利活動法・社会福祉法人等いずれの法人でも問題はありません。

どの法人でも法人定款等に「障がい者総合支援法に基づく障害福祉サービス」等と記載することが必要です。

 

【人員配置】

人員配置は以下の通りです。

  • 管理者:1名以上(支障がない限り、他職種と兼務が可能)
  • サービス管理責任者:1名以上(60名以下の場合)
  • 生活指導員:定員数÷7.5/10名(常勤換算)
  • 職業指導員:定員数÷7.5/10名(常勤換算)

 

管理者は常勤の必要はなく、常勤である必要があるのは、サービス管理責任者です。

また、生活指導員あるいは職業指導員のどちらかは常勤である必要があります。

 

【設備配置】

設備に関する基準は以下の通りです。

  • 訓練作業室:サービス提供時に支障のない広さを備えること。また、人数に応じた必要な機械器具類を備えていること。
  • 相談室:机は1卓以上、椅子は4脚以上。プライバシーに配慮できる空間であること。
  • 多目的室:相談室との兼務を認める。
  • 洗面所・トイレ:利用者の特性にあわせたものであること。トイレの手洗いと洗面所の兼用は不可。
  • 事務室:業務を行うための適切なスペースや備品があること。

就労継続支援B型 開業時の人員・設備基準

【法人基準】

開業には法人であることが必要条件です。

株式会社・合同会社・NPO法人・一般社団法人、特定非営利活動法・社会福祉法人等いずれの法人でも問題はありません。

どの法人でも法人定款等に「障がい者総合支援法に基づく障害福祉サービス」等と記載することが必要です。

 

【人員配置】

人員配置は以下の通りです。

  • 管理者:1名以上(支障がない限り、他職種と兼務が可能)
  • サービス管理責任者:1名以上(60名以下の場合)
  • 生活指導員:定員数÷7.5/10名(常勤換算)
  • 職業指導員:定員数÷7.5/10名(常勤換算)

 

管理者は常勤の必要はなく、常勤である必要があるのは、サービス管理責任者です。

また、生活指導員あるいは職業指導員のどちらかは常勤である必要があります。

 

【設備配置】

設備配置は以下の通りです。

  • 訓練指導室:サービス提供時に支障のない広さを備えること。また、人数に応じた必要な機械器具類を備えていること。
  • 相談室:机は1卓以上、椅子は4脚以上。プライバシーに配慮できる空間であること。
  • 多目的室:相談室との兼務を認める。
  • 洗面所・トイレ:利用者の特性にあわせたものであること。トイレの手洗いと洗面所の兼用は不可。
  • 事務室:業務を行うための適切なスペースや備品があること。

就労定着支援 開業時の人員・設備基準

【法人基準】

開業には法人であることが必要条件です。

株式会社・合同会社・NPO法人・一般社団法人、特定非営利活動法・社会福祉法人等いずれの法人でも問題はありません。

どの法人でも法人定款等に「障がい者総合支援法に基づく障害福祉サービス」等と記載することが必要です。

 

【人員配置】

人員配置は以下の通りです。

  • 管理者:1名以上(支障がない限り、他職種と兼務が可能)
  • サービス管理責任者:1名以上(60名以下の場合)
  • 就労定着支援員:定員数÷20以上

就労定着支援員については、非常勤のパート勤務の人材を雇用しても問題ありません。

 

【設備配置】

設備配置は以下の通りです。

  • 相談室:机は1卓以上、椅子は4脚以上。プライバシーに配慮できる空間であること。
  • 洗面所・トイレ:利用者の特性にあわせたものであること。トイレの手洗いと洗面所の兼用は不可。
  • 事務室:業務を行うための適切なスペースや備品があること。

各就労支援の特徴を理解し、失敗しない開業を

今回は、障害者就労支援事業を開業する際に確認すべきポイントや、各サービスの特徴についてまとめました。

 

障害者就労支援サービスは、障害者の社会復帰や社会貢献を目的としており、就労を支援する事でその役割を果たす社会的意義の大変高い事業です。

 

それにも関わらず、まだまだ日本国内における事業所数は需要に対して満たされていないのも現状です。

今すぐ開業する資金が十分に集まっていないという方については、国民政策金融公庫や日本郵政投資銀行による融資もありますので、ぜひチェックしてみてください。

 

事前準備や基準さえクリアできれば参入しやすく安定した事業展開が図れますので、ぜひ前向きに福祉事業への参入をご検討ください。

 

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