
訪問入浴介護事業とは
訪問入浴介護とは、自宅で入浴することがむずかしい人に対して、利用者の自宅に特殊浴槽を持ち込んで、入浴介助を行うことを指します。
身体介護サービスの一つである「利用者宅のお風呂を利用して入浴介助をする」こととはまた別のサービスになります。
利用者が、可能な限り自宅で自立した日常生活を営むこと、そして利用者の身体の清潔の保持や、心身機能の維持回復を目的とした事業です。
今回は、この「訪問入浴介護事業」の開業について、詳しく紹介していきます。
サービスの種類と流れ
訪問入浴介護には、大きく分けて2種類のサービスがあります。
●指定訪問入浴介護
介護サービス看護職員1人以上及び介護職員2人以上で実施。
対象者:要介護1〜5
●介護予防訪問入浴
看護職員1人及び介護職員1人以上で実施。
対象者:要支援1、2
訪問入浴は、比較的利用料金が高額なため、介護度の高い人が利用する「指定訪問入浴介護」を行うケースが多いです。
●訪問入浴の流れ
特殊浴槽を積んだ入浴車で利用者の自宅へ行き、介護スタッフと看護スタッフによる入浴介助を行います。
- 看護職員が利用者の脈拍・血圧・体温などを測定し、入浴が状態かどうかの判断をする。
- 利用者を特殊浴槽まで連れていき、入浴の介助を行う。体調が優れないなど、入浴が困難だと判断された場合は、利用者の状況に合わせて、清拭または部分浴を実施する。
- 入浴後に再度、看護職員が体調のチェックを行い、サービスは終了。
開業時に必要な資格や条件
訪問入浴介護事業を開業する際には、以下の基準を満たしている必要があります。
■人員基準
管理者:1名・・・資格の必要なし。専従の常勤職員でも兼任が可能
看護職員:1名以上・・・看護師または准看護師
介護職員:2名以上・・・資格の必要なし。
■設備基準
- 事務室:規定の広さはないが、人員が作業できる専用の事務スペースと鍵付きの書庫が必要。
- 相談室:利用者のプライバシー保護のため、相談できるスペースを設け、パーテーションなどで仕切るか個室でテーブルや椅子などを設置する。
- 浴槽:体が不自由な人でも入れる簡易浴槽を準備。
- その他:感染症予防のための手指消毒ができる洗面所。
■運営基準
主な運営基準は以下の通りになります。
- 内容および手続きの説明および同意
- 居宅サービス計画に沿ったサービスの提供
- サービスの提供の記録
- 勤務体制の確保
- 運営規程
- 会計の区分
- 記録の整備
- 秘密保持等
- 設備、器具の消毒
- 居宅介護支援事業者に対する利益供与の禁止
開業時にかかる費用
では、実際に開業する際にどれくらいの費用が必要になるのでしょうか。
順に紹介をしていきます。
■会社設立費用
法人を設立するためには、まず法務局への登記が必要になります。
株式会社設立の場合は、約25万円〜、合同会社設立の場合は、約10万円〜の費用を想定しておくとよいでしょう。
■物件取得費用
事務所を新たに構える際には、賃貸料や敷金、礼金、管理費といった費用がかかります。
広さの基準はありませんが、介護職員や看護職員の作業するスペースや、相談室、トイレ、手洗い場などを完備できる事務所にすることが必要です。
■備品購入費用
訪問入浴設備が整った車両1台と簡易浴槽を購入すると、約400万円以上かかります。
また備品として、職員の机や椅子、相談室の机や椅子、電話、FAX、パソコン、プリンター、鍵付き書庫、感染防止の消毒液、看護業務に必要な血圧計、体温計、ガーゼといった消耗品等の備品が必要になります。
全て合わせると100万円ほどみておくと良いでしょう。
■人件費
看護職員もしくは介護職員の誰かが管理者を兼任している場合でも、最低3名の人件費が必要になります。
また、車両1台あたり3名のスタッフまで対応できるため、車両台数が増えればその分人件費が増えていきます。
まとめ
高齢化が急速に進んでいる現在、訪問入浴が必要な高齢者も増加しています。
入浴したいけれど、自宅の浴室には足を運べないといった利用者を衛生面で清潔に保つだけでなく、入浴をサポートすることで、利用者にとってはリラックスにも繋がります。
心身のサポートにつながる訪問入浴介護事業を開業することで、地域の社会福祉に貢献していきましょう!