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通所リハビリテーション(デイケア)を 開業するには

通所リハビリテーション(デイケア) (以下、通所リハビリ)とは、普段は自宅で生活を送っている要介護者・要支援者(※)が、より自立した日常生活ができるよう支援するサービスのことです。

このサービスは、医師の指示の下で行われ、理学療法士や看護師などが行います。本記事では、介護保険に基づいたサービスを指します。

 

ここでいうサービス(リハビリ)とは、病気で寝込んだ後の回復期や、骨折の後に何らかの原因で機能低下がみられる場合に行うものです。

身体の機能回復訓練だけにとどまらず、心身ともに生き生きと自分らしい生活を送ることができるよう食事や入浴といった日常生活の支援をしたり、レクリエーションやゲームを通して身体機能を高めるサポートをしたりします。

 

なお、要支援状態の方は、介護予防通所リハビリテーションを利用します。

 

※要介護者=日常生活全般において、自分一人で行うことが難しく、誰かの介護が必要な状態

※要支援者=日常生活は自分で行うことができるが、多少の支援が必要な状態

 

通所リハビリテーション(デイケア)で提供できるサービス

通所リハビリテーション(デイケア)事業は、大きく2つに分けられます。

 

1.通所リハビリテーション(要介護1~5の方が対象)

機能訓練、生活指導、介護、介護方法の指導、健康状態の確認、送迎、食事サービスのほか、入浴サービスを行うところもあります。

 

2.介護予防通所リハビリテーション(要支援1~2の方が対象)

基本サービスと選択的サービスを提供します。選択的サービスは、運動器官の機能向上、栄養改善(※1)、口腔機能の向上(※2)、アクティビティ(※3)のことを指します。

 

※1:栄養士などによる食事相談などの栄養管理
※2:歯科衛生士などによる口腔清掃や嚥下(えんげ=物を飲み下すこと)機能への訓練の指導・実施

※3:集団的に行われるレクリエーション、創作活動

 

開業に必要な資格や条件

では実際に、事業者としてサービスを提供する際に必要な4つの基準を紹介します。

 

■法人であること 

株式会社や合同会社、NPO法人、社会福祉法人といった「法人」を設立して法人格を得ることが必須です。法人格でない場合は、まず会社設立手続きを行います。

また、すでに法人格を持つ場合は、定款の事業目的に「通所リハビリテーション事業」という文言があることを確認します。もし記載がない場合は、定款の事業目的を追記する必要があります。

 

■人員に関する基準 

規模によって、人員配置基準に違いがあります。

 

(介護老人保健施設、病院)

【医師】

配置基準:専任の常勤医師1名以上

 

【理学療法士、作業療法士、言語聴覚士】(以下:従事者)

配置基準:リハビリ単位ごとに利用者10人に1以上

サービス提供時間を通じて、 利用者の数を10で割った数の専属従事者が必要。

例)利用者25人の場合:25÷10=2.5で、3人の従事者が必要

 

理学療法士、作業療法士、言語聴覚士は、サービス提供日ごとに利用者が100人またはその端数を増すごとに1人必要。すなわち、利用者が100人以下であっても、必ずサービス提供時間を通じて1人の上記職種が必要となります。常勤である必要はなく、時間を区切り複数人の配置も可能です。

 

サービス所要時間1~2時間の場合は、上記従事者の代わりに適切な研修を受けた看護師、准看護師、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師でも可

 

(診療所:入院床数が19床以下の施設のこと)

【医師】

配置基準:

利用者数が同時に11人以上=専任常勤医師1名以上

利用者数が同時に10人以下=専任医師1名
※利用者数は専任医師1人に対し48人以下であること

 

【理学療法士、作業療法士、言語聴覚士】(以下:従事者)

配置基準:

リハビリ単位ごとに利用者数10人以下

=サービス提供時間を通じて専属で通所リハに関わる従事者1名以上。

リハビリ単位ごとに利用者数11名以上

=サービス提供時間を通じて利用者数を10で割った数の、専属で通所リハに関わる従事者が必要。

上記従事者または、 通所リハもしくはこれに類するサービスに1年以上従事した経験を持つ看護師を、常勤換算法で0.1人以上確保している必要があります。

 

■設備に関する基準

通所リハビリテーションは、医師の指導の下行われる医療サービスなので、病院、診療所、介護老人保健施設の3施設のみが併設することが許可されます。


設備基準は、介護老人保健施設については若干異なります。

・設置場所について

病院、または診療所であって通所リハビリ実施専用の部屋の設置が可能なもの、または介護老人保健施設であること

 

・リハビリ実施専用の部屋について

(病院・診療所)

3平方メートルに利用者数を乗じた面積があることが必要。移動の困難な機材等のスペースを省いた有効面積であること

 

(介護老人保健施設)

利用者用に確保されている食堂の面積を含めた上で、3平方メートルに利用者数を乗じた面積があること

通所リハビリを行う事業者ごとに備える設備は、専らその事業にのみに使用されなければなりません。つまり、他の事業と共用は不可です。例外もありますので、開業拠点となる自治体に確認ください。

 

・専用の機器、および器具

サービス提供に必要な、専用機器及び器具を備えなければなりません。 機器や器具の種類・数量に規定はありません。

 

・その他の設備

非常災害を想定した消火設備等、必要な設備を備える必要があります。非常災害に際して必要な設備とは、消防法やその他の省令等で規定された設備を指します。

 

■運営に関する基準

  • サービス提供内容の説明・同意
  • サービス提供拒否の禁止
  • 通所介護計画の作成
  • 心身の状況等の把握
  • 居宅介護支援事業者等との連携
  • 衛生管理
  • サービス提供の記録
  • 緊急時の対応
  • 運営規程の整備
  • 秘密保持
  • 苦情処理
  • 事故発生時の対応等
  • 会計の区分

ほか

 

施設開業時にかかる費用

上記をはじめとする基準を満たすことができると、開業の手続きが可能となります。通所リハビリ事業所開業時に、どういった費用がかかるのかをまとめました。

 

■施設費

病院、診療所、介護老人保健施設内に専用の部屋を設けられない場合、別棟に場所を設けないとなりません。

 

■改装費

リフォームが必要となる場合があります。 内容や規模によって異なりますし、業者によっても違ってくるので、複数の見積もりを取ることをおすすめします。

 

■リハビリ専用機器・器具費

高額な機器を導入しなくても、椅子やボールといった日常の道具を利用して行うことが可能です。購入内容は吟味することをおすすめします。

 

■車両費

送迎に適した車両のレンタル(または購入)費、ガソリン費、税金、保険料などが必要です。

 

■国からの融資、助成金が受けられる

開業資金を全て自己資金で賄うことが出来るのが一番ですが、ほとんどの場合は不足であると思われます。日本政策金融公庫や民間の金融機関から融資を受けることが一般的です。

厚生労働省や経済産業省も起業等の開業資金の手助けをしています。

 

(助成金)

  • 介護基盤人材確保助成金…介護関連事業主が新サービスの提供などの理由で特定労働者を雇い入れた場合、対象労働者一人あたり上限70万円まで助成されます。
  • 介護雇用管理助成金…就業規則や賃金規定の作成、採用パンフレットの作成、求人サイトや新聞の等で従業員を募集した場合、実際にかかった費用の半額、上限100万円まで助成されます。
  • 介護未経験者等確保助成金…介護関係業務の未経験者を雇用し、1年以上継続雇用が確実と認められる場合に助成されます。
  • 中小企業労働環境向上奨励金(研修体系制度)…スタッフの階層に適した研修制度を導入した時に、中小事業主ならば30万円が助成されます。雇用管理制度整備計画を作成し、計画期間終了後に振り込まれます。

これらの助成金は、会社を設立したり、従業員を雇用したりしてから6ヶ月~10ヶ月後に支給されます。

 

(融資)

介護事業者が利用できる日本政策金融公庫が扱う融資は次のようなものがあります。

  • 新創業融資制度(無担保、無保証)…上限1500万円 事業を始める場合、事業を始めて間もない場合に融資が受けられます。
  • 新規開業資金…上限7200万円(うち運転資金は4800万円以内) 事業をはじめる場合、事業をはじめて概ね5年以内に対して。
  • 女性、若者/シニア起業家資金…上限7200万円(うち運転資金は4800万円以内) 女性、30才未満、55歳以上の方が融資を受けられる対象です。

ほかにも、融資上限額は日本制作金融公庫よりも少額なものの、都道府県や市町村などの自治体が手掛けている公的融資もあります。

 

通所リハビリテーション(デイケア)事業を開業する特徴やメリット

利用者側から見た、通所リハビリを利用するメリットを、以下に記しました。

・体力向上や体力維持ができ、心身の機能が回復する
・専門家の指導を受けることができる
・生活が規則的になり、リズムができる
・外出の機会ができ、引きこもりを予防できる
・家族以外の人とのコミュニケーションがとれる
・普段からも健康や生活に気を付けるようになる
・介護をしている家族の負担軽減になる

2025年問題や人生100年時代と言われる現代、通所リハビリへ事業はこれからさらに伸びることが予想されます。堅実経営を心がければ安定した事業だと言えるでしょう。

 

■スキルを上げることが大切

リハビリを続けるうち、ある程度自立ができるようになった段階で利用を止めるのが一般的です。そのため、短期集中的にトレーニングが行われることが多く、かつ、成果が重視されます。

理学療法士、作業療法士、言語聴覚士それぞれスキルの高いスタッフを多く確保するのはもちろんですが、採用後もスタッフのスキル向上を怠らないことが重要でしょう。

 

■多様化するサービスにも対応を

気をつけたいのは、提供するサービスが画一的になりがちだということ。

例えば、リハビリに集中してしまうため、食事や入浴の補助が簡素になってしまう、など。

今後は、より充実した多様なサービスを提供する事業所にニーズが高まるでしょう。新たに起業する場合は特に、独自のコンセプトを生み出し、他の事業所と差別化を図ることが成功のポイントとだと言えそうです。

 

まとめ

いかがでしたか?

通所リハビリのような生活の質を高める手助けをする事業が増えれば、これからの私たちの安心にもつながります。医療現場とうまく連携しながら、これから起こりうる社会問題の改善に一役買える通所リハビリテーション事業。ぜひ開業をご検討ください。

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